
出典:http://ryoma-kinta.blog.jp/archives/5442303.html
どうも!いっくんです!
私は病院で働く臨床検査技師で、不妊治療のクリニックでも勤めていましたよ。
精液検査を受ける予定の方は、精液の採取について悩む事があると思います。
この記事では自宅採精での精液の取り方のコツと、持って行き方をお話しします!
精液検査のための採精(精液採取)は自宅でも出来る?

検査用の精液採取は2パターン
精液検査のために精液を採取することになったとして。
採取には2つのパターンがありますよ。
①クリニックの「採精室」で精液を採取する
②次回来院する時に自宅で採取した精液を持ってくる
どちらか自由に選択できる施設もありますし、最初から指定されてる場合もあります。
指定されてる場合は診察体制や設備の兼ね合いでそう決まっているので、言われた方法に従いましょう。
院内での採精が基本。自宅採精する場合もあり

基本的には精液検査の結果がより正確に出る採精室で採取するのが推奨されてます。
でも中には自宅採精を希望する患者さんもいて、理由としては下記の通りです!
「クリニックでとるのは恥ずかしい」
「前に採精室でとろうとしたけど、緊張してダメだった」
「射精障害があるから、採精室じゃとれる気がしない」
明確な理由がある人もいれば、気分的な問題で採りたくない人まで様々です笑
そしてどこの不妊治療のクリニックでも、自宅採精のシステムは採用してます。
採精室がなくて院内採精ができない施設などは、必然的に自宅採精になりますね。
では、次に自宅採精の流れについてみていきましょう!
自宅採精の仕方について

出典:http://ryoma-kinta.blog.jp/archives/5442303.html
自宅採精が決まったら、まず検査予約を入れてもらいます。
検査予約当日に自宅で採取した精液を持ってきてもらいますよ!
まずスタッフから自宅採精のポイントや注意点の説明を受ける事になりますよ。
絶対に守ってもらうべきポイントはこれです。
・自力で専用の容器に全量採取する
・採取時間をメモして、1時間以内にクリニックまで運ぶ
・持ち運ぶ時には容器を人肌の温度に保つ
これはすべて厳守してもらいます。1つでも出来てないと精液検査結果が全然変わってくるので。
本人が理解できてるか確認しながら話しますよ!
やり方を理解できたら精液採取用の専用容器を渡します。
そして検査予約日である次回、来院する直前に自宅で精液採取して持ってきてもらいます!
精液をクリニックまで持ってきたら、あとは容器を受付に提出します。
渡した後は、待合室で結果が出るのを待つだけです!
自宅採精:精液採取のコツは?

必ず自力で採取
専用容器に全量採取してもらいますが、自分の手で採取するのが原則です。
奥さんに手伝ってもらおうとする人がいますが、それはダメです笑
コンドームは殺精子剤が添加されてるので使わない
コンドームを使って採取するのはNGです。
何故ならコンドームには基本的に殺精子剤が添加されてるので、触れた瞬間に精子にダメージを与えかねません。
専用容器に直接採取
そもそもゴムから専用容器に移し替える時に精液が絶対残っちゃうので不適切。
精液量を正確に測るためにもコンドームは禁止です。
採取した精液の運搬方法とは?(1時間以内)

持ち運びの時間は厳守
精液は採取してから「1時間以内」を厳守で持ってきて

ポイントはクリニックまで持ってくる時間は、早ければ早い方が良いです!
自宅採精する場合は、「病院に持っていくのにかかる時間」を計算しましょうね。
時間が経ち過ぎると結果が悪くなる
精液は採れてから時間が経つと、「運動率」(精子の動き)がどんどん悪くなります。
最も正確に検査できるのは精液採取から「20分後」です!
採取から1時間以上が経過するとアウトですね。
運動率が下がるだけじゃなくて「死滅する精子」も少しずつ増えていきます。
ちゃんと1時間以内には持ってくるようにしましょう!
同一患者の精液を使って実験
私は仕事中に実験してみた事があります。
同じ患者さんの精液で、採取後20分、40分、60分、80分、100分と時系列に検査しました。
採取から20分や40分では大きな違いは無いですが、1時間を過ぎると運動率は明らかに下がってきます。
1時間以上立った精液は「あれ?間違えて別人の精液使った?」ってぐらい悪化していて、
100分を過ぎると運動率がピークの半分ぐらいになるケースもありました。
つまりは提出が遅くなるだけで、本来は正常でも異常として扱われる可能性があるってこと。
1時間を厳守にはちゃんとした根拠があるんですよ!
運搬時には容器を人肌の温度に保つ
精液を持ち運ぶ時の温度管理は超大事です。
精液が入った容器を保存に適さない温度に晒すと、精子が死滅したり動きが悪くなります。
ベストな温度は人肌の温度や室温など表現はまちまちですが、適正な温度で保存しましょう。
暖め過ぎず冷え過ぎずがポイントです。
中にはちゃんと搬送時間まで気にして採ったのに・・・「ホッカイロで温めてきて結果がボロボロ」っていう笑えないケースもありました。
管理を怠ると結果が台無しになるので、ちゃんと温度まで気を配りましょうね。
可能なら院内採精がおすすめ

自宅で精液を採取してくるのは一見楽そうですけど、実際には制約が多くて面倒です笑
・そもそも容器に採取して持ち運ぶのが面倒。
・クリニックに1時間以内に精液を届けるプレッシャー。
・運ぶときの温度を意識しないといけないから「真夏や冬場」だと超悩む。
更には運んできた精液検査の結果が悪かった場合、採取方法も疑われます。
不妊治療の担当医は色々な可能性を検討しますからね。
・精液そのものに問題があるのか?
・採取の仕方がいけないのか?
・搬送途中で影響を受けたのか?
担当医は「ちゃんと教えた通りに採取しましたか?」ってあなたに聞きます。
初めての精液検査だったら尚更気にして「持ってくるまでに余計なことしちゃったかも…」って感じるはずです。
初回結果が悪かったら院内採精で再検査
初回の検査結果が悪かったら、スタッフとしては精液の採取から搬送までの余計な影響を除きたいと考えます!
院内採精なら余計な影響はすべて除外できるので、次回は院内採精での再検査になります。
あれこれ悩んで余計な手間がかかるより、最初から採精室で採るのが一番じゃないですか?
もちろん自宅採精すべき理由(EDなど)がある人は自宅採精のスタイルでOK。
しっかりルールを守って採取してくださいね。

今回は、精液検査のための精液を「自宅で採取」する流れをお話ししました!
自宅で採ってクリニックに持ってくるのは、簡単なようで実はけっこー大変です。
私が患者さんの立場だったら自宅採精はめんどくさ過ぎます。
もし院内か自宅か選ぶことが出来るのであれば、クリニックで採精した方がよっぽど楽だし合理的ですよ!